知財経営シリーズ第9回

 
木島T&Bコンサルティングオフィス代表 木島研二

 

「知財の創出と活用」と中小企業の対応  20201月)

11月に中小企業と大企業の関係における「知財の扱い」について述べたが、今月は中小企業の診断や支援で遭遇した「知財の問題例」について記載した。背景にあるのは、知財に関する無関心や理解不足、あるいは大企業との対応等にあると考えられる。

1.丸秘書類の管理

  重要な技術やノウハウ等を丸秘扱いにしたのは良いが、丸秘と記載したファイル類を入り口近くの書棚に無造作に置いている。(誰でも見たり、持ち去りも可能)

2.顧客情報の漏洩

取引先の大企業側の秘密情報(技術開発や事業)を仲間の中小企業や他の顧客大企業に漏洩してしまう。(顧客の情報の扱いと自社の情報の扱いと双方に注意する)

3.共同開発契約の不履行

共同開発先の契約書では他社への提供を禁じているが、開発した技術を顧客の競合先の大企業へ提供した。(競合先の学会発表で発覚した)

4.技術情報の開示

  製作図面に製造上の技術情報を併記したため、製造技術やノウハウが流出した。本来は図面と技術・ノウハウとは分けて管理が必要である。(公開と秘匿を分けて管理する)

5.金型の技術

  金型とそれを使用した部品を受注・製造していたが、顧客要請でノウハウを併記した金型図面を提供したため、海外の製造メーカへ移転された。

6.共同開発の契約書

  顧客である大企業と共同開発の契約を交わす時に、法務部門の契約書作成の関与により厳格かつ片務的な契約を強要された。(開発部門との双務的な契約が現実的)

7.ソフトウェアの扱い

顧客からのソフトウェアの開発依頼や自社のソフトウェア提供において、知財権や帰属等が曖昧になる。(特許や著作権の点から、共同開発や提供で契約に反映する)

8.応用特許の対応

独自の固有技術により受注を行ったが、基本特許しか出願してないため顧客に応用特許を出願されて事業展開が制約された。(応用特許を出願するか、共同開発契約書を交わして制約をかける)

9.特許出願の乱用

顧問弁理士よりアイデア的な内容を次々と特許出願することを薦められ、活用できない特許に多大なコストを浪費した。(知財戦略を策定し、出願要否や情報開示等をよく検討する。保有特許の棚卸しと廃棄、顧問弁理士の適否も検討要)

10.特許に関する制約

  永年に渡り契約上の特許使用料を支払っていたが、該当特許は拒絶査定で権利化されていなかった。(特許の状況の調査や契約への反映が必要)


 

知財経営・補講

 
 


〜 前号で掲載の「知財の創出と活用」と中小企業の対応」の補講です。

    出典:特許庁

https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/report_tizai_1.html

解説:会社の秘密を守るには(第1回)平成30830日更新

「営業秘密」とは

https://www.inpit.go.jp/content/100798186.png

1 営業秘密とは・・・「営業秘密」には技術情報も含まれます。

営業秘密」は、「不正競争防止法」という法律の中で「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報 であって、公然と知られていないものをいう。(不正競争防止法第2条第6項)」と、定義されています。

権利化(特許などで守る)と秘匿化

https://www.inpit.go.jp/content/100798187.png