知財経営シリーズ第10

 
木島T&Bコンサルティングオフィス代表 木島研二

 

「知財の創出と活用」と中小企業の対応  20202月)

1.「知財担保融資制度」の流れ

 知財のような無形資産(知的資産)を担保に融資業務へ活用できないかというニーズが従来からあり、2009年に日本政策金融公庫へ企画提案した「知財担保融資の評価制度」を紹介したい。国内では以下のような流れで進んでいたが、中国では2006から2011年までに3361件の知財担保融資(総額約4兆円)を実施した、という報告が出ている。

 2005年:埼玉りそな銀行、日本政策投資銀行と「知財権担保」による協調融資を実行

 2007年:中国銀行、日本政策投資銀行と「知財権担保」による協調融資を実行

 2009年:「知財担保融資制度」の企画提案と評価を実施

 2020年:「事業の新規性と成長性」の認定を受けた場合、新事業育成資金として知的財産も担保として活用、と日本政策金融公庫のH/Pに記載されている。

2.「知財担保融資制度」の評価内容

 企業の提出資料と技術・市場の調査により、以下のような評価を含め報告書を作成する。

融資判断の補足資料として3ランクに区分し、A:知財単独で融資可、B:事業と併せて融資可、C:担保化は難しい、という区分を提示した。

 評価内容は(ここでは知財を発明と表現している)

 1)発明の名称

  名称、出願日、権利者(共同発明)、権利化状況等

2)発明の強さ(技術面と知財面)

  発明の種類と強さレベル、発明の残存期間(権利有効期間)等

3)発明の活用状況

  活用状況(自社の事業等)、権利範囲(製品への適用))、事業への寄与度等

4)事業化(市場や事業環境)

  市場規模・成長性(関連市場)、事業実現性(未の場合)、事業収益(経済的寄与)等 

3.知財をベースにした投融資例

 一部の地域金融機関では、「知財の有無」を中小企業の評価や融資の材料としているが、

あくまでも有無のみを基準としている場合は知財の過大評価になる恐れもある。

1)        メガバンクの要請で、大企業からのカーブアウトベンチャー企業の特許技術+事業性を評価し、開発製品の製造ライン立上の融資を検討した。

2)        総合商社の要請で、米国ベンチャー企業の特許+技術+事業性を評価して、投資決定の判断材料とした。

参考文献:「知的担保融資の将来性」―中小企業の知的資産経営と金融機関―

2015年の東京大学の調査として、信金のニーズや状況の調査・分析をした。

活動は停滞しているものの4割の信金に知財担保のニーズがある、としている。


 

 知財経営・補講

 
 


〜 前号で掲載の「知財の創出と活用」と中小企業の対応」の補講です。

    出典:特許庁

https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/report_tizai_2.html

解説:会社の秘密を守るには(第2回)平成30830日更新

·         1.不正競争防止法の改正   2.民事的保護について   3.刑事的保護について

·         4.法人処罰について     5.警察に駆け込む前に   6.裁判の場合

·         7.他者(社)の情報も守りましょう   8.退職者と転職者について

·         9.参考文献         10.関連リンク      11.お知らせ

1.不正競争防止法の改正

https://www.inpit.go.jp/content/100798463.png

1 不正競争防止法における これまでの営業秘密に関する法改正

 昭和初期に制定された不正競争防止法に、営業秘密の規定が導入されたのは平成二年になってからのことで、当初は民事的な保護だけでした。図1に示すように、その後これまでに何回もの法改正を重ね、営業秘密の保護が強化されてきました。

・・・・・・・・・。

   その不正競争防止法について、


1.秘密情報の不正な取得や使用に対する罰則の大幅強化

2.営業秘密侵害罪となる対象者や対象行為を大幅に拡大


する法改正が行われ、平成28年(2016年)11日から施行されています。

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